墨竹図風炉先屏風 狩野常信筆(部分)
2021年1月5日(火曜日)から1月31日(日曜日)
企画展
竹-日本の美-
- ■会場
- 蓬左文庫展示室
- 日本人にとって最も身近な植物の一つである「竹」にまつわる様々な作品から、竹とともに育まれた日本の美意識を探ります。
展示の詳細案内
四季を通じて青緑を保ち真っ直ぐに育つ竹は、清らかさや繁栄の象徴と考えられてきました。特に中国では、寒中でも緑を保つ松や寒中に花を咲かす梅とともに、高潔さの象徴である「歳寒三友」の一つとして愛されました。日本では、榊などとともに神事で用いられる一方で、竹取物語などの文学作品にも登場しました。また高い強度と柔軟性をあわせ持ち、環境によって色・姿を変える竹は、古くから現代にいたるまで、生活のなかで様々な工芸品に用いられています。竹は日本人にとって最も身近な植物の一つと言えるでしょう。竹にまつわる様々な作品から、竹とともに育まれた日本の美意識を探ります。
松・竹に鶴図(まつ・たけにつるず)二幅対のうち
右幅には松を背景に天に向かって啼く鶴(丹頂(たんちょう))が、左幅には竹の群生する水辺に舞い降りた鶴が描かれています。松と竹に、千年の長寿を保つとされた鶴のつがいを組み合わせた、とてもおめでたい画面となっています。
江戸時代 18世紀
竹取物語図(たけとりものがたりず)田中訥言筆
竹取の翁(おきな)が輝く竹の中に見つけた三寸(9㎝)ほどのかわいらしい女の子は、老夫婦のもとで育てられました。初めは籠に入れられるほどでしたが、すくすくと大きく育った、という様子が描かれています。
江戸時代 19世紀 個人蔵
墨竹図(ぼくちくず) 二幅対の内 右幅
風になびき揺れる竹が、太湖石(たいこせき)と呼ばれる岩とともに描かれており、葉擦れの澄んだ音が聞こえてくるようです。凛とした空間からは、筆者の高潔な佇まいすらも浮かび上がってきます。
明時代 15-16世紀
志野竹の子文筒茶碗 歌銘 玉川
(しのたけのこもんつつちゃわん かめい たまがわ)
志野焼独特の柔らかい釉薬の中に、筍(たけのこ)が幻想的に浮かび上がった茶碗です。現代の食卓に並ぶ筍は、一般的に孟宗竹(モウソウチク)です。しかし、孟宗竹は江戸時代中期に日本に渡ってきたと言われるため、本品に描かれた筍は、淡竹(ハチク)か真竹(マダケ)の筍と考えられます。
桃山時代 16-17世紀
小堀権十郎箱書 関戸家伝来 岡谷家寄贈
竹茶杓 虫喰(たけちゃしゃく むしくい) 伝千利休作
千利休の作として伝えられた茶杓です。茶杓の中節の下方と切止(きりどめ)に空いた穴が、虫食穴(むしくいあな)として見立てられ、後世「虫喰」と呼ばれました。実際には、穴は竹が傷み朽ちてできた穴であり、全体に歪んだ形態は真竹(マダケ)に突然変異的にできた歪みと考えられます。茶の湯の文化では、このような傷みや変形のある竹に、魅力が見出されてきました。
桃山時代 16世紀
墨竹図風炉先屏風(ぼくちくずふろさきびょうぶ) 二曲一隻 狩野常信筆
水辺に群生する淡竹(ハチク)と太湖石が描かれています。しばしば茶席で、水指や風炉釜の後ろに立てて用いられたようで、飛沫(ひまつ)を受けた跡が見られます。窓は鉄刀木(たがやさん)で枠を設け、黒褐色の稈(かん)が特徴である黒竹(クロチク)を差し込んだ、凝った意匠となっています。
江戸時代 17-18世紀
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