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舞楽図巻(部分) 舞楽図巻(部分)

2024年9月22日(日曜日)から11月4日(月曜日・振休)

秋季特別展 みやびの世界
「魅惑の源氏物語」「宮廷文化の華」

会場
徳川美術館本館展示室 蓬左文庫展示室
和歌や物語などの古典文学や大陸伝来の雅楽や香料を調合して作られる薫物(たきもの)は、平安時代以降に宮廷のなかで育まれてきた文化です。宮廷で華開き、長らく伝えられてきた雅びの文化を紹介します。

紫式部観月図 清原雪信筆
(むらさきしきぶかんげつず きよはらゆきのぶひつ)

むらさきしきぶかんげつず きよはらゆきのぶひつの画像

 石山寺に参籠した紫式部が、琵琶湖に映る十五夜の月を見て「今宵は十五夜なりけり」と『源氏物語』を「須磨」帖から書きはじめたという伝説に基づく図である。眼下に広がる湖水を前に、文机に向かい、筆を執る紫式部の姿が描かれ、周囲の紅葉が秋の風情を伝える。筆者の清原雪信(1643から82)は、紫式部をはじめ女性を主題とした画題や源氏絵を数多く手がけ、当時随一の女流画家として名声を博した。

江戸時代 17世紀
滋賀・石山寺蔵
展示期間:2024年9月22日から10月14日

紫式部図 近衛家熈賛・狩野岑信筆
(むらさきしきぶず このえいえひろさん・かのうみねのぶひつ)

むらさきしきぶず このえいえひろさん・かのうみねのぶひつの画像

 豪華な裳唐衣(もからぎぬ)の装束を身にまとった紫式部が、机に向かって筆を執り、今しも物語を書き始めたところを描く。上部の色紙形の右の一枚は、天台宗に説かれる四諦(したい)の法門の文言で、左二枚は紫式部が石山寺の源氏の間に書き付けたと伝説がある和歌である。絵は、徳川将軍家の奥絵師・狩野岑信(1662から1709)、書は公卿で平安時代の上代様(じょうだいよう)の書の復興を志した近衛家熈(1667から1736)による。

江戸時代 17から18世紀
滋賀・石山寺蔵
展示期間:2024年10月16日から11月4日

源氏物語絵巻 蓬生
(げんじものがたりえまき よもぎう)

げんじものがたりえまき よもぎうの画像

 国宝「源氏物語絵巻」は、紫式部の『源氏物語』を絵画化した現存最古の『源氏絵』で、日本の絵画を代表する名品である。爛熟した王朝文化の伝統を踏まえて、研ぎ澄まされた感性による絵画表現、美麗に装飾された料紙にしたためられた詞書の優美な書など、多くの「源氏絵」の中でも、ひときわ高い格調と説得力をもって、見る者を魅了している。12世紀前半白川院・鳥羽院を中心とする宮廷サロンで製作されたとみられ、現在、阿波蜂須賀家に伝来した一巻分が東京・五島美術館に、尾張徳川家伝来の三巻分が徳川美術館に所蔵されている。
 なお、昭和7年(1932)に保存のため額面装とされていた徳川美術館の三巻分は、平成28年(2016)から令和2年(2020)にかけて、保存上の観点から十五巻の巻子装に再改装された。

国宝
平安時代 12世紀
徳川美術館蔵
展示期間:2024年9月22日から10月6日

源氏物語絵巻 柏木(二)
(げんじものがたりえまき かしわぎ)

げんじものがたりえまき かしわぎの画像

 国宝「源氏物語絵巻」は、紫式部の『源氏物語』を絵画化した現存最古の『源氏絵』で、日本の絵画を代表する名品である。爛熟した王朝文化の伝統を踏まえて、研ぎ澄まされた感性による絵画表現、美麗に装飾された料紙にしたためられた詞書の優美な書など、多くの「源氏絵」の中でも、ひときわ高い格調と説得力をもって、見る者を魅了している。12世紀前半白川院・鳥羽院を中心とする宮廷サロンで製作されたとみられ、現在、阿波蜂須賀家に伝来した一巻分が東京・五島美術館に、尾張徳川家伝来の三巻分が徳川美術館に所蔵されている。
 なお、昭和7年(1932)に保存のため額面装とされていた徳川美術館の三巻分は、平成28年(2016)から令和2年(2020)にかけて、保存上の観点から十五巻の巻子装に再改装された。

国宝
平安時代 12世紀
徳川美術館蔵
展示期間:2024年10月8日から10月20日

源氏物語絵巻 東屋(一)
(げんじものがたりえまき あずまや)

げんじものがたりえまき あずまやの画像

 国宝「源氏物語絵巻」は、紫式部の『源氏物語』を絵画化した現存最古の『源氏絵』で、日本の絵画を代表する名品である。爛熟した王朝文化の伝統を踏まえて、研ぎ澄まされた感性による絵画表現、美麗に装飾された料紙にしたためられた詞書の優美な書など、多くの「源氏絵」の中でも、ひときわ高い格調と説得力をもって、見る者を魅了している。12世紀前半白川院・鳥羽院を中心とする宮廷サロンで製作されたとみられ、現在、阿波蜂須賀家に伝来した一巻分が東京・五島美術館に、尾張徳川家伝来の三巻分が徳川美術館に所蔵されている。
 なお、昭和7年(1932)に保存のため額面装とされていた徳川美術館の三巻分は、平成28年(2016)から令和2年(2020)にかけて、保存上の観点から十五巻の巻子装に再改装された。

国宝
平安時代 12世紀
徳川美術館蔵
展示期間:2024年10月22日から11月4日

物語二百番歌合 藤原定家撰・奥書 2帖
(ものがたりにひゃくばんうたあわせ ふじわらのさだいえせん・おくがき)

ものがたりにひゃくばんうたあわせ ふじわらのさだいえせん・おくがきの画像

 『物語二百番歌合』は、藤原定家が後京極良経の下命によって王朝物語の和歌を抜粋して、歌合の形式とした秀歌撰である。『源氏物語』と『狭衣物語』の和歌を左右につがえた『百番歌合』と、その続編で『源氏物語』と『夜寝覚』など十種の物語の和歌を左右につがえた『後百番歌合』からなる。『源氏物語』の和歌795首のうち200首を定家が撰んだ点で重要である。本書は、奥書に定家が初撰本は人に貸して紛失したため、家人に書写させ、彼自身も一部を書写したと記していることから、再撰本とわかる。

重要文化財
鎌倉時代 13世紀
個人蔵

源氏物語絵巻(盛安本) 桐壺
詞書 九条幸家ほか・絵 市川光重筆
(げんじものがたりえまき(もりやすぼん) きりつぼ
ことばがき くじょうゆきいえほか・え いちかわみつしげひつ)

げんじものがたりえまき(もりやすぼん) きりつぼ ことばがき くじょうゆきいえほか・え いちかわみつしげひつの画像

 第一帖「桐壺」の物語全文を書写し、詞書十八段・絵十五図を三巻に構成した豪華な絵巻である。絵の場面数の多さと、別れや凶事の場面も採り上げられている点に大きな特色がある。
 絵巻の企画者とみられる杉原盛安による奥書には、「源氏物語の心をもらさず、ゑ(絵)に書あらはし」たいと絵巻製作を思い立ったと記されている。このほか「帚木」「末摘花」「葵」巻や絵の断簡が次々と確認され、「幻の源氏物語絵巻」として注目されている。

江戸時代 明暦元年<1655>
個人蔵

檜扇に夕顔模様小袖 紅綸子地
(ひおうぎにゆうがおもようこそで べにりんずじ)

ひおうぎにゆうがおもようこそで べにりんずじの画像

 紅の綸子地に檜扇と夕顔の花の模様を散らした優美な小袖で、第四帖「夕顔」の有名な一場面を思わせる。光源氏が、乳母の隣家に咲く夕顔の花に惹かれ、随身に手折らせたところ、女童が出てきて花を載せるよう扇を差し出すという場面である。興味をひかれた光源氏は、やがてその女主人のもとに通うようになる。夕顔と呼ばれた女君は、その後、光源氏と訪れた廃院で物の怪に襲われ、命を落とす。貴公子に愛されるという幸せの絶頂で命を落とす悲劇のヒロインを演出する小袖ともいえよう。

松坂屋コレクション
江戸時代 18世紀
J.フロントリテイリング史料館蔵
展示期間:2024年9月22日から10月14日

初音蒔絵帯箱
(はつねまきえおびばこ)

はつねまきえおびばこの画像

 第二十三帖「初音」に取材し、明石の君が娘の明石の姫君に贈った和歌「年月を松にひかれてふる人に今日(けふ)鶯の初音きかせよ」の歌意を全体の意匠とし、その歌の文字を葦手書きに散らす。新年を迎えた六条院の春の御殿が精緻な蒔絵であらわされている。寛永16年に三代将軍家光の娘千代姫(1637年から98)が、尾張徳川家二代光友に婚嫁する際持参した調度の一つで、帯を納める箱である。室町時代以来の蒔絵師である幸阿弥家十代の長重が製作に当った。

国宝
霊仙院千代姫(尾張家2代光友正室)所用
江戸時代 寛永16年<1639>
徳川美術館蔵

宇治香箱
(うじこうばこ)

うじこうばこの画像

 香合せは数種の香を炷いて香りを聞き分けて賞玩し、その当否を競う遊びである。本品は解答を示す香札を納めるための箱で、「宇治香」と呼ばれる香合せに用いられる。箱の蓋表には「宇治香箱」の文字と平等院や鐘楼、四側面にわたって宇治の風景が精緻な蒔絵であらわされている。箱の中には、「宇治十帖」の帖名を蒔絵で記した桔梗花形の香札各6枚ずつ合計60枚を納める。香札の裏には、薫・匂・霞・桜・桐・紅葉の文字が蒔絵であらわれている。

国宝
霊仙院千代姫(尾張家2代光友正室)所用
江戸時代 寛永16年<1639>
徳川美術館蔵

能面 般若 焼印 「天下一是閑」 是閑吉満作
(のうめん はんにゃ やきいん「てんかいちぜかん」 ぜかんよしみつさく)

のうめん はんにゃ やきいん「てんかいちぜかん」 ぜかんよしみつさくの画像

 剥き出しの牙、大きく裂けた口は、嫉妬や怒りに燃え上がる女性の怨念を表現している。一方で、八の字の眉からは、激しい怒りに秘められた深い悲しみがうかがえる。「葵上」の後場(後半)では、怨みのあまり鬼の姿へと変じた六条御息所の怨霊に使われる。裏の焼印にある「天下一是閑」とは、面打師の家系である大野出目家初代、是閑吉満(生年未詳から1616)のことで、名工として知られ、文禄4年(1595)に豊臣秀吉から「天下一」の称号を与えられた。

桃山から江戸時代 16から17世紀
徳川美術館蔵

月百姿 源氏夕顔巻 月岡芳年画
(つきひゃくし げんじゆうがおのまき つきおかよしとしが)

つきひゃくし げんじゆうがおのまき つきおかよしとしがの画像

 「月百姿」は月にまつわる画題を集めた揃物で、本図では満月が皓々と輝くなか、白い花や実をつけ、蔓を縦横に伸ばす夕顔の向こうに、乱れ髪の女の姿が中空に浮かび上がる。「夕顔」を題材にした能「半蔀(はじとみ)」「夕顔」では、不慮の死を遂げ、この世に未練を残した夕顔の霊が登場し、僧の弔いによって無事成仏を遂げる。本図のどこか寂し気な女の姿は夕顔の霊であろう。
 「月百姿」は月岡芳年(1839から92)最晩年の代表作で、病により中断したものの、明治18年から25年までに全百枚が刊行された。

明治19年<1886>
徳川美術館蔵

二十一代集 40冊の内
(にじゅういちだいしゅう)

にじゅういちだいしゅうの画像

 「二十一代集」とは、平安時代の『古今和歌集』より室町時代の『新続古今和歌集』に至る勅撰和歌集で、天皇の綸旨(りんじ)、上皇あるいは法皇の院宣(いんぜん)によって編纂された。このうち『古今和歌集』『後撰和歌集』『拾遺和歌集』を三代集、これに『後拾遺和歌集』『金葉和歌集』『詞花和歌集』『千載和歌集』『新古今和歌集』の五集を加えたものを八代集と呼んでいる。また『新古今和歌集』以降の勅撰集を「十三代集」と総称している。宮廷の最高権威者の下命による撰集ゆえに各時代の和歌の最高水準を示す歌集として尊重された。

転陵院好君(尾張家9代宗睦正室)所用
江戸時代 寛永16年〈1639〉
徳川美術館蔵

三十六歌仙図額 36枚の内 柿本人麿・紀貫之・在原業平・小野小町・伊勢・斎宮女御
(さんじゅうろっかせんずがく)

さんじゅうろっかせんずがくの画像

 中世の歌人を描いた歌仙絵のなかでも、特に名高い歌人36人を選んだ形式が流行した。その中でも人麿の序列は基本的に一番目とされた。本図は桃山時代から江戸時代初頭に活躍した狩野孝信(1571から1618)が元和4年(1618)8月に描いた額である。歌仙の額は、通常寺社などに奉納され、本図もかつて大法寺釈迦堂(名古屋市熱田区)に掲げられていた。

江戸時代 元和4年〈1618〉
徳川美術館蔵

復元装束による打出の再現
(ふくげんしょうぞくによるうちいでのさいげん)

ふくげんしょうぞくによるうちいでのさいげんの画像

 『栄花物語』「根あはせ」の中で描写された、天喜4年(1056)4月晦日(みそか)に開催された皇后宮寛子(かんし)春秋歌合に登場する装束を復元し、「打出(うちいで)」の飾り付けの再現を試みた。
 この春秋歌合は後冷泉天皇も出席した大規模な催しで、一流歌人たちによる和歌のみならず、装束や調度品にも歌題にちなんだ趣向を凝らして場を彩った。春秋歌合に参加する人々は、左方が春、右方が秋にちなんだ装いであった。

現代 21世紀
民族衣裳文化普及協会蔵

安元御賀記 藤原定家筆
(あんげんおんがのき)

あんげんおんがのきの画像

 安元2年(1176)3月4日から6日にかけて、法住寺殿(ほうじゅうじでん・法皇の御所)において行われた後白河法皇(1127から92)50歳の御賀の様子を、藤原隆房(1148から1209)が書き記した仮名日記の写本である。賀宴は、初日は高倉天皇の法住寺への行幸に始まり、舞楽と管絃、二日目は船楽・蹴鞠・管絃、三日目の後宴は管絃・舞楽などが続き、還御までが記録されている。特に三日目に行われた舞楽「青海波」の華々しさはこの行幸のハイライトであり、その盛大な様子を伝える記録は『安元御賀記』のみである。本品は、藤原定家(1162から1241)が染筆にたずさわった『安元御賀記』写本である。

重要文化財
徳川家康所用
鎌倉時代 13世紀
徳川美術館蔵

舞楽図巻 2巻の内
(ぶがくずかん)

ぶがくずかんの画像

 『枕草子』の「舞は」の段には、東遊(あづまあそび)の求子舞(もとめごまい)や太平楽(たいへいらく)などの曲名が挙げられ、『源氏物語』の「紅葉賀」帖に青海波(せいがいは)が登場するように舞楽が物語の進行と結びつくなど、舞楽が貴族の生活の中に深く浸透していた様子がうかがえる。
 本品は宮廷や寺社で上演された舞楽(ぶがく)を、曲ごとに描いた巻物である。上巻の巻頭には幔幕(まんまく)・大太鼓(だだいこ)・大鉦鼓(おおしょうこ)を配し、高舞台で鉾(ほこ)を執って舞う清めの舞「振桙(えんぶ)」が描かれている。下巻には、幔幕を張り巡らせた楽舎の前で、唐楽「陵王(りょうおう)」、高麗楽「納曽利(なそり)」が描かれている。

江戸時代 18世紀
徳川美術館蔵

琵琶 銘 影向
(びわ めい ようごう)

びわ めい ようごうの画像

 琵琶は箏(そう)とともに、雅楽の合奏「管絃」に用いられる絃楽器である。『枕草子』の「弾くものは」の中で風香調(ふごうちょう)と黄鐘調(おうしきちょう)といった琵琶の調絃や蘇合急(そごうのきゅう)と春鶯囀(しゅんのうでん)の曲名を挙げているほか、一条天皇の元にあった「無名(むみょう)」の銘をもつ琵琶について、中宮定子(ていし)が語っている逸話に触れている。
 本品の「影向」の銘は、藤原中将俊舎が大永元年(1521)12月25日に北野天満宮に詣でてこの琵琶を弾じ、神慮を慰めたところ、神意に通じたため、「影向」と命名されたと伝えられている。

後水尾天皇所用 名物
室町時代 15世紀
徳川美術館蔵


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展示の詳細は決定次第順次お知らせしていきます。

2024年度展示スケジュール:PDFファイル(2.20MB)

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