重要文化財 純金香盆飾り
2025年4月12日(土曜日)から6月8日(日曜日)
企画展
「千代姫の華麗なる生涯」
- ■会場
- 蓬左文庫展示室
- 3代将軍徳川家光の長女千代姫は、将軍家の跡継ぎ確保のため、わずか2歳6か月で尾張徳川家2代光友に嫁ぎました。2代にわたる将軍の姉として将軍家との橋渡し役となり、尾張徳川家の繁栄の基礎を築いた千代姫の生涯を振り返ります。
展示の詳細案内
純金葵紋花鳥図香盆飾り
(じゅんきんあおいもんかちょうずこうぼんかざり)
【まばゆい輝きとともに香りを楽しむ】
香木や練香を炷(た)いて、香りを室内にくゆらせたり、香りを楽しんだりするための道具一式です。盆の表には、それぞれ狩野派風の山水と梅に鶯(うぐいす)の花鳥図が、また外周には花唐草文が精緻に毛彫りで表されています。香盆は木胎に金の薄板を貼り合わせた構造ですが、ほかの香炉や炷空入(たきがらいれ)、香木や灰を扱うための火道具などはすべて金の無垢です。
霊仙院千代姫(尾張家2代光友正室)所用
江戸時代 寛永16年(1639) 重要文化財
銀葵紋檜垣に梅図香盆飾り
(ぎんあおいもんひがきにうめずこうぼんかざり)
【白く輝く銀の香道具】
純金葵紋花鳥図香盆飾りと同様、香を炷(た)くための諸道具が一式となった銀製の香盆飾りです。香盆は木胎の上を銀の薄板で包む銀貼の構造で、表には亀甲地に檜垣と梅の老木、底部には木目の模様が表されています。金と銀という素材の違いはありますが、純金の香盆飾りと、構造や技巧・意匠が類似しており、同時期に作られたことをうかがわせます。
霊仙院千代姫(尾張家2代光友正室)所用
江戸時代 寛永16年(1639) 重要文化財
鬢曽木道具
(びんそぎどうぐ)
【千代姫のための特注品】
深曽木と鬢曽木(びんそぎ)の通過儀礼に用いる道具です。深曽木は数え5歳、鬢曽木は数え16歳の通過儀礼で6月16日に行うのを嘉例としました。附属文書から、舅(しゅうと)の義直が二条康道(やすみち)をはじめ公家から儀式の次第書を取り寄せ、将軍の娘にふさわしい儀礼をと周到に準備を進めた様子がうかがえます。
霊仙院千代姫(尾張家2代光友正室)所用
江戸時代 17世紀
源氏物語抜書
(げんじものがたりぬきがき)
【品格と矜持(きょうじ)あふれる書】
鉄線唐草文を藍で摺りだした料紙に『源氏物語』の「葵」「花宴(はなのえん)」「明石」の一節を散らし書きにした調度手本です。肥痩に富んだ伸びやかな筆線による書は品格に富み、千代姫の自負と教養が感じられます。
「葵」は、光源氏が六条御息所(ろくじょうのみやすどころ)の書を評した一節で、書が優れていても、それだけではこの女性と思い定めることのできない複雑な心情が示されています。
霊仙院千代姫(尾張家2代光友正室)筆
江戸時代 17世紀
真珠貝玉箱
(しんじゅかいたまばこ)
【異国の薫り漂う玉箱】
箱書に「権現様(家康)御譲の由、延宝八年(1680)申七月十一日霊仙院様(千代姫)より被進候由」とあり、千代姫が家康から譲られ愛用した玉箱とわかります。金銀の細線を組み合わせて葡萄唐草文を表し、金の鶴や尾長鳥・蜂・蜻蛉(とんぼ)・蝶・栗鼠(りす)のモチーフに加え、141粒の天然真珠がちりばめられています。中国南部かタイ周辺で製作されたとみられ、大航海時代の遺風が漂う、絢爛豪華な道具です。
徳川家康・霊仙院千代姫(尾張家2代光友正室)所用
東南アジア 16世紀
金唐革鏡覆
(きんからかわかがみおおい)
【鏡カバーだって舶来品】
二つ折りの手鏡のカバーで、花瓶を中心に海獣やアカンサス唐草文、クワブ文(軟骨模様)が表され、花瓶の下部にはオランダの工房ハンス・ル・メールを示す「HLM」の印があります。ヨーロッパで壁装材として製作された金唐革は、日蘭貿易で日本へもたらされ、袋物や小物に利用されました。千代姫の化粧道具の「乱箱(みだればこ)」附属とする記録があります。
ハンス・ル・メール作
霊仙院千代姫(尾張家2代光友正室)所用
オランダ 17世紀
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