螺鈿梅花形楼閣人物図食籠(部分)
2024年6月8日(土曜日)から7月21日(日曜日)
企画展
「ハマる!工芸」
- ■会場
- 蓬左文庫展示室
- 漆工品や金工品、焼物などの工芸品には、巧みな素材の組み合わせや卓越した技術が隠されています。「ハマる」をキーワードに、工芸品の様々な姿や秘密に迫り、その魅力にハマってみてください。
展示の詳細案内
漆工品や金工品、陶磁器などの工芸作品には、時に異なる素材が巧みに組み合わされています。文様を彫り、別の素材を嵌め込む象嵌や、貝片を漆器や木地に嵌めたり貼ったりして装飾する螺鈿は、作り手の卓越した技術の結晶です。また、様々なものを収める箱も木の組み方や収納の仕方に工夫が凝らされ、隙間なく嵌まるように作られています。
本展では数ある工芸技術の中でも、こうした素材や形がぴったりと組み合わされた「ハマる(嵌る)」側面に着目し、工芸作品の様々な姿や秘密に迫ります。
三島牡丹文俵形花生
(みしまぼたんもんたわらがたはないけ)
牡丹の文様が白く表されています。これは器本体の土から文様を削り取り、異なる色の土を嵌め込んでいるためです。こうした技法を「象嵌(ぞうがん)」と言い、この花生のような三島手のほか、青磁に象嵌を施した象嵌青磁も陶磁器の象嵌の代表的な技法です。文様が器本体の色と異なるため、文様部分が際立ちます。
朝鮮王朝時代
15世紀から16世紀
花鳥七宝繋文密陀絵沈金御供飯
(かちょうしっぽうつなぎもんみつだえちんきんうくふぁん)
御供飯は半球形の蓋に、高い脚のある琉球独自の器で、祭祀道具として用いられました。
全体が朱漆で塗られ、その上に沈金(ちんきん)や密陀絵(みつだえ)が施されているため、内部構造を知ることはできませんでした。脚の部分は寄木造のように複数の木材を組み合わせて作られています。蓋は上部から側面にかけて、こんもりとした曲面になっています。木材をお椀のような曲線を持つ形にする方法として、一般的には刳物(くりもの)と呼ばれる、鑿(たがね)や鉋(かんな)で刳り抜く方法、挽物(ひきもの)と呼ばれる、ろくろを使って加工する方法があります。しかし、これは巻胎(けんたい)というテープのような細い木材をぐるぐる巻きにして曲面を形作り、その上に蓋の上部となる板を嵌め込んで作られています。
琉球時代
16世紀から17世紀
徳川家康・徳川義直(尾張家初代)所用
重要文化財
山水楼閣人物図堆錦重箱
(さんすいろうかくじんぶつずついきんじゅうばこ)
朱漆塗りに堆錦を施した、五段の大型の重箱です。黒・茶・緑・黄の堆錦餅(ついきんもち)で、楼閣山水を表しています。堆錦を用いて作品を製作する際、葉や岩肌など繰り返し同じ文様が登場する場合にはスタンプを用いて凹凸をつけることがありますが、この重箱の場合には、線の上に引っ掻いたような痕跡が見られることから、一つ一つ職人の手で凹凸がつけられたと考えられます。
琉球時代
19世紀
三上家寄贈
雲龍文螺鈿盆
(うんりゅうもんらでんぼん)
江戸時代の琉球国王は、薩摩藩島津家と中国の双方に仕える体制を採っており、特に中国向けの贈答品としてこのような盆は貝摺(かいずり)奉行所でさかんに製作されました。
五爪龍(ごづめりゅう)は中国皇帝の象徴で、龍の意匠の中でも最高級の意匠です。龍の顔・足・胴などのパーツごとに薄貝(うすがい)を切り出して形作っています。また龍の鬣(たてがみ)や鱗(うろこ)は黒漆を塗って貝を押さえ、研ぎ出してから毛彫りして表しています。龍の尾には8センチにもなる大きな薄貝を用いており、技術力の高さがうかがえます。
琉球時代
18世紀から19世紀
螺鈿梅花形楼閣人物図食籠
(らでんばいかがたろうかくじんぶつずじきろう)
貝は場所や個体によって光沢が異なります。作品製作にあたり、貝の色を選り分けて用いている場合もあります。用いられている貝片の中に、青く輝く部分と、ピンク色に輝く部分があることに気づきます。例えば、装束が青い時には帯をピンクに、木の幹を青に、葉はピンクに光るようにして、意匠の色彩を構成しています。
明時代
15世紀から16世紀
挿花図螺鈿軸盆 朱漆銘 大明皇慶年製
(そうかずらでんじくぼん しゅうるしめい だいみんこうけいねんせい)
非常に薄くて細かなヤコウガイの貝片を組み合わせ、そこに繊細な毛彫りも施しつつ、たっぷりと生けられた花が表されています。花器には尾長鳥(おながどり)を、花台には雷文繋や六花菱文を表し、念入りに作り込まれており、凜とした空気感に包まれています。
元時代
14世紀
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