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これまでの展示案内


左:花色日の丸威胴丸具足 右:紫地葵紋付葵の葉紋辻ヶ花染羽織 左:花色日の丸威胴丸具足 徳川家康着用
(駿府御分物)
右:重文 紫地葵紋付葵の葉文辻ケ花染羽織
徳川家康着用(駿府御分物)

2023年7月23日(日曜日)から9月18日(月曜日・祝日)
<終了しました>

夏季特別展
「徳川家康 ―天下人への歩み―」

会場
蓬左文庫展示室
 徳川美術館本館展示室
徳川家康の波乱の生涯を歴史史料などから辿るとともに、駿府御分物(家康の遺産)を中心に、軍事・政治・学問・芸能など、様々な側面に焦点を当て、家康像を紐解きます。

展示の詳細案内

 慶長8年(1603)、征夷大将軍となった徳川家康は幕府を成立させ、約250年も続く太平の世の基礎を築きあげました。家康の生涯の大半は、室町時代から続く戦国の世にあり、時に命が危険にさらされながらも、困難を乗り越え、戦乱に終止符を打ちました。
 蓬左文庫展示室では、史料を中心に家康がとった選択に注目しながら、その波乱の生涯を辿ります。本館展示室では、家康歿後に尾張徳川家へ贈られた駿府御分物(家康の遺産)を中心に、家康の人となりから軍事力・政治と学問・茶や香道といった芸能などに焦点を当て、家康像を紐解いていきます。

長篠合戦図屏風 六曲一隻
(ながしのかっせんずびょうぶ)

ながしのかっせんずびょうぶ 六曲一隻

 天正3年(1575)5月21日に、設楽原(愛知県新城市)で行われた織田信長・徳川家康連合軍と、武田勝頼の戦いを描いた「長篠合戦図屏風」です。右端に武田軍が包囲した長篠城、中央の連吾川を挟んで右側に武田軍、左側に織田・徳川連合軍が配置され、馬防柵の前後に織田・家康連合軍の鉄炮衆が描かれています。

江戸時代 19世紀
展示:2023年7月23日(日曜日)から8月20日(日曜日)

刀 無銘 一文字 名物 南泉一文字
(かたな むめい いちもんじ めいぶつ なんせんいちもんじ)

かたな むめい いちもんじ めいぶつ なんせんいちもんじ

 豊臣秀頼が慶長16年(1611)3月28日、京都・二条城で徳川家康と会見した折に、家康に贈った刀です。二条城会見は、秀頼が家康の下へ出向いた形式のため、豊臣家と徳川家の力関係が逆転した出来事として特筆されます。この刀はその歴史的瞬間に立ち会った名刀といえます。「南泉」の名は、室町将軍家が所持していた時、猫が真二つに斬られたことから、中国の南泉普願(なんせんふがん)が弟子に悟りを開かせるために猫を斬った「南泉斬猫」の公案をもとに名付けられたといいます。

足利将軍家・豊臣秀吉・豊臣秀頼・徳川家康所持
鎌倉時代 13世紀
重要文化財

薄水色麻地蟹文浴衣 駿府御分物
(うすみずいろあさじかにもんゆかた)

うすみずいろあさじかにもんゆかた 駿府御分物

 大柄の蟹文を全面に散らした意匠の浴衣です。苧麻(ちょま)を用いた高級品で、一般的には生地を織り上げた後、一年間寝かせてから染められます。文様を防染糊(ぼうせんのり)で伏せた後、藍で染めることで、文様を白く残しています。当初はもっと藍の色が濃く鮮明であったと思われます。家康着用の浴衣は、33点が一括して現存し、そのうち文様もしくは葵紋がある浴衣は8領遺されています。

徳川家康所用
江戸時代 17世紀
展示:2023年7月23日(日曜日)から8月20日(日曜日)

花色日の丸威胴丸具足 駿府御分物
(はないろひのまるおどしどうまるぐそく)

はないろひのまるおどしどうまるぐそく 駿府御分物

 鉄片を黒漆で塗り固めた小札(こざね)を花色の糸で威しながら、胴の中央と左右の大袖に、紅糸で大きく日の丸を威し、金具廻に鮮やかな蒔絵を施した華やかな家康着用の具足です。この具足はかつて名古屋城小天守内に収められていましたが、家康が朝廷から拝領を固辞したと伝わる桐紋が蒔絵で表されていることから、江戸時代中期以降は秀吉着用の具足と誤認されていました。

徳川家康所用
桃山時代から江戸時代
16世紀から17世紀

続日本紀 四十巻の内 巻一・十六 駿河御譲本
(しょくにほんぎ するがおゆずりぼん)

続日本紀 四十巻の内 巻一・十六 駿河御譲本(しょくにほんぎ するがおゆずりぼん)

 『続日本紀』は、『日本書紀』に続いて延暦16年(797)にできた公式の歴史書です。奈良時代を中心とするおよそ100年間(7世紀末から8世紀末)が記録される。慶長写本の中にも『続日本紀』があり、家康が特に関心を持っていた歴史書です。この写本は、北条実時(さねとき・1224から76)が築いた金沢文庫の旧蔵書で、慶長17年(1612)に伊豆山神社の別当寺般若院の僧から家康に献上されました。この時すでに巻一から十が欠けており、不足分を五山の僧に書写させており、巻十一から四十が現存最古の写本です。

金沢文庫伝来
徳川家康・徳川義直(尾張家初代)所用
名古屋市蓬左文庫蔵
鎌倉時代 13世紀
重要文化財

曜変天目(油滴天目) 大名物
(ようへんてんもく(ゆてきてんもく))

ようへんてんもく(ゆてきてんもく) 大名物

 堺の茶人・油屋常言(じょうげん)・常祐(じょうゆう)父子が所有したのち、家康から尾張徳川家初代義直(よしなお)に駿府御分物として伝えられました。鉄釉(てつゆう)の中の金属成分が焼成中に釉表面に斑文として浮かびあがる効果を「油滴」と呼んでいます。その中でもさらに斑文が虹色に輝く場合は「曜変」と呼びます。この茶碗はやや白くみえる斑文が浮かんでおり、完全な「曜変」とは言えませんが、尾張徳川家では「曜変」と呼び習わしてきました。

樋口屋紹札・油屋常言・油屋常祐
徳川家康・徳川義直(尾張家初代)所用
中国・金時代 12世紀から13世紀

藤原定家小倉色紙 「こひすてふ」 大名物 駿府御分物
(ふじわらさだいえおぐらしきし)

ふじわらさだいえおぐらしきし 「こひすてふ」  大名物 駿府御分物

 「小倉色紙」は、藤原定家が京都嵯峨野の小倉山の山荘で、古今の歌人百人を選び、歌一首ずつを書き記したと伝わる色紙です。定家の書は桃山から江戸時代に最上の贈答品の一つとして珍重されました。また、その書風は定家様(ていかよう)と呼ばれて愛好され、家康も同様に定家の書を尊びました。

徳川家康・徳川義直(尾張家初代)所用
展示:2023年7月23日(日曜日)から
8月20日(日曜日)

花鳥七宝繋文密陀絵沈金足付盆 駿府御分物
(かちょうしっぽうつなぎもんみつだえちんきんあしつきぼん)

かちょうしっぽうつなぎもんみつだえちんきんあしつきぼん 駿府御分物

 慶長14年3月に、薩摩の島津義久(よしひさ)が家康の了承のもと、琉球に侵攻、4月に首里城を落とし、翌年に尚寧王(しょうねいおう)を駿府で家康に謁見させています。琉球は島津家に与えられ、将軍や琉球王の代替わりの際に、江戸へ使節を派遣しました。御供飯とは半球形の高い蓋を伴い、高い脚のついた盆で、大椀と、小椀10個を格納した神饌用の食器です。濃い朱漆地に花樹・鳥・蜂・蝶などが沈金(ちんきん)や密陀絵(みつだえ)、色漆、岩絵具で描かれています。

徳川家康・徳川義直(尾張家初代)所用
琉球時代 16世紀から17世紀
重要文化財

徳川家康画像(三方ヶ原戦役画像)
(とくがわいえやすがぞう(みかたがはらせんえきがぞう))

とくがわいえやすがぞう(みかたがはらせんえきがぞう)

 元亀3年(1572)に武田信玄に三方ヶ原で敗れた家康が、その敗戦を肝に銘ずるため、敗走時の姿を描かせたと伝えられていますが、この伝承には史料的な根拠がありません。ただし、尾張徳川家の蔵帳には「東照宮尊影」とあり、江戸時代から家康像として認識されていたことは確かです。目を見開いて歯を見せる忿怒(ふんぬ)の表情や武装姿から、家康を武神として祀る礼拝像であったと考えられます。

聖聡院従姫(9代宗睦嫡子治行正室)所用
江戸時代 17世紀
展示:2023年7月23日(日曜日)から
8月31日(木曜日)


本阿弥光悦折紙 本阿弥光室折紙 元和七年六月三日
刀 無銘 兼光 附属

2023年6月3日(土曜日)から7月17日(月曜日・祝日)
<終了しました>

企画展
「極める!江戸の鑑定」

会場
蓬左文庫展示室
江戸時代には、刀剣や書蹟・絵画など、それぞれの分野で美術品の真贋や価値を評価する「鑑定」が行われていました。作品と折紙・極札・箱書といった鑑定の証から、鑑定の様相にも迫ります。

展示の詳細案内

 美術品の真贋や価値を評価する「鑑定」には、画題や製作地・製作者などを見極める専門的な知識が必要とされます。江戸時代には、刀剣の本阿弥(ほんあみ)家をはじめ、刀装具の後藤家、書蹟の古筆(こひつ)家、絵師の狩野家・住吉家、茶道の各家元たちによって、それぞれの分野の鑑定が行われていました。
 本展では、鑑定の対象となった作品と、鑑定結果を示す折紙(おりがみ)・極札(きわめふだ)・箱書(はこがき)などから、科学分析用の機材や記録用の鮮明な写真すらなかった時代に行われた鑑定の様相に迫ります。

中殿御会図 伝藤原為氏筆(ちゅうでんぎょかいず)
(附 二代畠山牛庵極札・正筆書住吉廣定折紙 文政十三庚寅年六月)

中殿御会図 伝藤原為氏筆(ちゅうでんぎょかいず)(附 二代畠山牛庵極札・正筆書住吉廣定折紙 文政十三庚寅年六月)

 建保6年(1218)8月13日の夜、清凉殿(せいりょうでん)において、順徳(じゅんとく)天皇が開催した和歌と管絃の会を、藤原信実(のぶざね・1176から1265)が記録した絵を原本とする模本です。江戸時代初期の古筆鑑定家・畠山牛庵(はたけやまぎゅうあん)による極札(きわめふだ)や古筆家による略式の鑑定書である「正筆書(しょうひつがき)」、住吉廣定(ひろさだ・1793から1863)による折紙など、6点の鑑定書が附属し、模本ながら本巻がいかに珍重されていたかがうかがえます。

室町時代 16世紀
江戸時代 17世紀
江戸 文政13年(1830)
徳川美術館蔵
展示期間:2023年6月29日から7月17日

烏丸光廣添状 寛永四年仲秋(藤原定家自筆書状「山門状」附属)
(からすまるみつひろそえじょう かんえいよねんちゅうしゅう ふじわらていかじひつしょじょう さんもんじょう ふぞく)

烏丸光廣添状 寛永四年仲秋(藤原定家自筆書状「山門状」附属)(からすまるみつひろそえじょう かんえいよねんちゅうしゅう ふじわらていかじひつしょじょう さんもんじょう ふぞく)

 「山門状(さんもんじょう)」と呼ばれる藤原定家自筆の書状(重要文化財・徳川美術館蔵)に添えられた書状の一通です。江戸時代初期を代表する文化人で、詠歌・書・茶の湯・古筆の鑑定などさまざまな分野で活躍した烏丸光廣(からすまるみつひろ・1579から1638)による書状です。「この書は定家の真筆で、証書など必要としないほど明らかである。あえてそれを証明するのは花を見て花と称し、月を見て月と称すようなものだ」と記しています。華麗な文言には、光廣の高い教養が発揮されています。

江戸時代 寛永4年(1627)
徳川美術館蔵

刀 無銘 郷義弘 名物 五月雨郷
(かたな むめい ごうよしひろ めいぶつ さみだれごう)

刀 無銘 郷義弘 名物 五月雨郷(かたな むめい ごうよしひろ めいぶつ さみだれごう)

 刃文が五月雨の頃の霧を思わせるため、または五月雨の頃に作者が極められたため、「五月雨郷」と名付けられたとされる名刀です。刃文は一見静かに見えますが、細かな変化が多く表れています。
 作者の郷(江)義弘は越中(えっちゅう)国(富山県)松倉郷(まつくらごう)に居住したとされる鎌倉時代後期の刀工で、正宗の弟子と伝わり、江戸時代には正宗・吉光とともに天下三作と称され珍重されました。

黒田長政・徳川秀忠(2代将軍)ほか所持
鎌倉時代 14世紀
徳川美術館蔵

茶入之次第 伝小堀遠州筆
(ちゃいれのしだい でんこぼりえんしゅうひつ)

茶入之次第 伝小堀遠州筆(ちゃいれのしだい でんこぼりえんしゅうひつ)

 大名茶人・小堀遠州(えんしゅう・1579から1647)が、47種類の茶入についてその名前と特徴を記した巻物の写本です。当時、形状も基準となっていたはずですが図はなく、分類ごとに土と釉薬の様子、底の形状が記されています。現代では、陶磁器を生産していた窯跡からの出土品を基準とする分析が主となっていますが、そうした情報がない時代には細かな観察から茶入を分析・分類していた様子がうかがえます。

江戸時代 17世紀
徳川美術館蔵

千宗旦竹茶杓 銘 二人静
(せんそうたんたけちゃしゃく めい ふたりしずか)

千宗旦竹茶杓 銘 二人静(せんそうたんたけちゃしゃく めい ふたりしずか)

 千家三世の元伯宗旦(げんぱくそうたん・1578から1658)による二本一対の茶杓で、能の曲目「二人静」にちなんで銘がつけられています。
 本品は、裏千家四代仙叟宗室(せんそうそうしつ・1622から1697)が内箱の蓋裏と身底に、同八代又玄斎一燈(ゆうげんさいいっとう)宗室が中箱の蓋裏に、同十一代玄々斎(げんげんさい)精中(せいちゅう)宗室が中箱蓋表と外箱蓋裏に書付をしています。茶の湯道具の名品では、このように何重もの箱と箱書が添えられ、鑑定の保証度が補強されていくことがよくあります。

仙叟宗室(裏千家4代)・又玄斎一燈宗室(同8代)・玄々斎精中宗室(同11代)箱書
江戸時代 17世紀
徳川美術館蔵

黒樂茶碗 銘 横槌 伝樂二代目長次郎作
(くろらくちゃわん めい よこづち)

黒樂茶碗 銘 横槌 伝樂二代目長次郎作(くろらくちゃわん めい よこづち)

 箱蓋裏に表千家七代如心斎(じょしんさい)天然宗左(てんねんそうさ・1706から51)が「二代目 黒茶碗 銘 ヨコ槌(花押)」と書付けています。樂焼を専らとした樂家の二代を常慶(じょうけい)とする説もありますが、ここでは二代目長次郎(ちょうじろう)という人物を指していると考えられます。二代目長次郎は、初代長次郎(生年未詳から一五八九)の次世代の人物で、史料から想定されている程度で、あまり良くわかっていません。
 常慶の作風と異なる本碗の場合は、長次郎という伝称があるものの、長次郎の典型と区別するために、如心斎が「二代目」と書付けていた可能性もあります。

桃山-江戸時代 16-17世紀
徳川美術館蔵


左:紅・白段金霞扇に枝垂桜文唐織 右:能面 小面 伝是閑吉満さく 左:紅・白段金霞扇に枝垂桜文唐織
右:能面 小面 伝是閑吉満作

2023年4月15日(土曜日)から5月28日(日曜日)
<終了しました>

企画展
「能の世界-神・男・女・狂・鬼(しん・なん・にょ・きょう・き)-」

会場
蓬左文庫展示室
日本の伝統芸能である能は600年の歴史を刻んだ舞台芸術です。能の演目の5つの分類である≪神・男・女・狂・鬼(しん・なん・にょ・きょう・き)≫をテーマに能面・能装束を紹介します。

展示の詳細案内

 全部で200曲以上あるといわれる能の演目を分類分けした言葉に、神・男・女・狂・鬼(しん・なん・にょ・きょう・き)があります。
今回の展覧会では、この5つの分類から、それぞれ代表的な曲目の取り合わせを、能面・能装束や小道具などで紹介します。

能面 白式尉 伝元休満総作
(のうめん はくしきじょう)

のうめん はくしきじょう 伝元休満総さく

 白式尉は、「翁(おきな)」のシテが直面(ひためん・素顔)に翁烏帽子を被った翁狩衣(おきなかりぎぬ)姿で登場し、舞台上で舞う時だけ着ける面(おもて)です。舞台上で面を着け、面を外す演出は他に例がありません。本品は、切り離された下顎を飾紐で結んだ切顎、ボウボウ眉とよばれる飾眉、への字の下に刳りぬかれた目などが特徴です。

江戸時代
18世紀

格子と萌黄地稲妻に源氏車文段替厚板
(こうしともえぎじいなずまにげんじぐるまもんだんがわりあついた)

こうしともえぎじいなずまにげんじぐるまもんだんがわりあついた

 厚板は文字通り厚地の織物で仕立てられた小袖で、色や模様によって、白・無地・紅無(いろなし)・紅入(いろいり)・段・紅白段・大格子・中格子・小格子などに区別されます。主として少年から老人までの男性の着附のほか、荒神や鬼畜の役、また年配の女性の表着にも用いるなど、用途はもっとも広い装束です。本品は紅と萌黄の段替わりに白の二重格子と稲妻形に源氏車を散らした文様で構成された、力強い男性的な装束です。

江戸時代
17世紀

能面 小面 伝是閑吉満作
(のうめん こおもて)

のうめん こおもて 伝是閑吉満さく

 小面は、もっとも年若い女性を代表する面です。小さい面という意味ではなく「小」は可憐さや雅やかさなどを意味します。白粉を塗り、紅を差し、お歯黒をつけています。眉は地の眉毛を払った後に、額の上部に眉を描いています。この面の作者は不詳ですが、江戸時代の観世家の鑑定では、作者は大野出目家の初代是閑吉満(1527から1616)とされています。是閑吉満は文禄4年(1595)に豊臣秀吉から「天下一」の称号を与えらています。

桃山時代から江戸時代
16世紀から17世紀

紅・白段金霞枝垂桜に扇文唐織
(べに・しろだんきんかすみしだれざくらにおうぎもんからおり)

べに・しろだんきんかすみしだれざくらにおうぎもんからおり

 唐織は、能装束を代表するもっとも絢爛豪華な装束で、主として女役の表着として使用されます。一見すると刺繡のように見えますが、多色使いの織物です。若い女役には紅色の入った紅入(いろいり)を、中年以上の役柄には、紅色を加えない紅無(いろなし)を用います。本品は紅と白を段替わりで、十色にもおよぶ桜花と蕾は、半開きの扇の上にかかるように、また下に重なるようにして表され、桜の季節の華やかな躍動感を写し取ったような作品です。

江戸時代
19世紀

能面 般若 焼印「天下一是閑」朱漆花押 是閑吉満
(のうめん はんにゃ)

のうめん はんにゃ 焼印「天下一是閑」朱漆花押 是閑吉満

 「般若」の名は、この面を創作した室町時代中期の能面師・般若坊(はんにゃぼう)の名に由来します。「葵上」の六条御息所(ろくじょうのみやすどころ)の生霊、「道成寺」の蛇体や「紅葉狩」の鬼女に用います。女性の嫉妬の悲しみと怒りの極限を表現した、すぐれた造形です。桃山時代を代表する能面師・是閑吉満(ぜかんよしみつ)の作とされています。

桃山時代から江戸時代
16世紀から17世紀

能面 獅子口 朱漆花押 伝吉成赤鶴一透斎作
(のうめん ししぐち)

のうめん ししぐち 朱漆花押 伝吉成赤鶴一透斎さく

 文殊菩薩に仕える霊獣(れいじゅう)の獅子が、牡丹に戯れ遊び舞を舞う「石橋(しゃっきょう)」専用の面です。鋭い目には金環(きんかん)が嵌入(かんにゅう)され、カッと大きく開かれた口には上下一対の牙がのぞきます。口中の真紅に対し、顔全面は金泥(きんでい)で彩色されています。特殊演出で獅子を二頭以上出す場合には、主役が白頭(しろがしら)、脇役が赤頭(あかがしら)を着けます。面裏には、喜多家の先祖の花押と目される朱漆花押があります。

桃山時代
16世紀


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